特別支援教育に関するFAQ(※カテゴリを選択してください)
自閉症の児童生徒がパニックになったときは,どのように対応すればよいでしょうか。
不要な刺激を与えないように静かに声かけし,必要に応じて静かで落ち着く場所に移動するようにします。パニック時に教員が大声を出すと,ますます不安感や不快感が募り,余計にエスカレートし,パニックが大きくなります。パニック中に注意しても伝わりません。静かに,声かけも少なく対応しましょう。
パニックになったときに,好きな場所や好きな活動ができると,「パニックを起こせば,要求が叶えられる」「嫌なことから逃避できる」ことを学習してしまいます。困った行動をやめさせるのではなく,その行動と置き換わる適切な行動を教えましょう。
また,家庭や社会で生活していく上で,指示に従うルールを教えることも大切です。
記録をもとに,パニックを起こした理由を探り,「パニックを起こさなくてもよい環境づくり」を工夫することが重要です。
終了時刻になっても好きな遊びや課題学習を終わることができないときは,どのように対応すればよいでしょうか。
全体的な流れや次の活動の見通しが持てるように,スケジュールを提示し,「好きな遊びや課題学習が次はいつできるのか」を伝えます。
また,見通しが持てるようにタイマー等を手渡し,終わりを予告します。活動を終了できれば,「終わりのルール」が守れたことを本人が喜ぶ方法で称賛します。
家庭や社会で生活していくうえで,指示に従うルールを教えることは大切です。スケジュールの活用やタイマーなどを使った終わりの予告など,見通しを持たせ,ルールを守りやすい環境を整えましょう。
一度学んだことを修正するのは,新しいことを教える以上に時間がかかるので,最初から正しい行動を教えることが大切です。
集団活動において,自分の好きなことばかりやりたがる場合,どのように対応すればよいでしょうか。
苦手なことにも取り組めるようになるためには,具体的に視覚的支援を用いて始まりと終わりを明確に提示し,少し頑張ればできそうな活動からスモールステップで取り組みます。活動ができたときは,本人が喜ぶ方法で称賛します。
本人が納得しないまま「好きなこと」を取り上げるのは,かえって落ち着きがなくなり,パニックにもつながります。
その活動において,指示が「わからない」のか,スキルが未習得で「できない」のか,それまでの経験で「やりたくない」のかなど,活動しない理由を考え,それに応じた支援方法を考えてみましょう。
教員が何も対応をしないと,本人は「しなくてもいい」「好きなことをしてもいい」ということを学習してしまいます。
聴覚過敏があり,耳を塞いで活動を嫌がったり,急に大声を上げて教室から飛び出したりする児童生徒には,どのような対応をすればよいでしょうか。
あらかじめ苦手な音が出ることが予想できる場合は,事前に予告し,必要ならば軽減できる防音具(イヤーマフ,耳栓等)を装着するように声かけをします。また,苦手な音を軽減させるため,あらかじめ椅子脚の先端にテニスボールや椅子脚カバーを取り付けておきます。苦手な音から避難したいときは,教員に伝えてから決められた場所(雑音の少ない空き教室,保健室等)に移動するなどのルールを決めておきます。
「無理矢理にでも慣れさせる」という対処法は厳禁です。解決に繋がらないどころか,心身の健康を害するリスクもあります。また,過敏性は,心理的に不安定になるとより強くなるので,過敏性が強くなってきたときは,環境やスケジュールを見直しましょう。
自閉症の児童生徒に有効な「構造化」について教えてください。
スケジュールの提示(時間の構造化)は,見通しを持った活動が可能になり,指示待ちの態度の形成を予防し,自分の力で自主的に行動しようとする態度を育てることができます。また,あらかじめ予定を伝えることで,混乱からくるパニックを減らすことができます。「声かけでわかる」ではなく,「自分の力でわかる(できる)」を目指しましょう。
ワーキングエリア(学習に取り組むための場所)やカームダウンエリア(落ち着くための場所)など各空間を物理的に区切り,その空間では何をすればよいかわかるようにし,活動と場所を結びつけることも有効です(物理的構造化)。ただし,これらのエリアを廊下や外が見える位置に設置すると,戸外からの刺激が学習の集中を妨げます。また,カームダウンエリアの設置は安全面に配慮しましょう。
ワークシステム(手順の構造化)は,教員が絶えず密着して指示や指導をしなくても,課題の意味,手順,量などを理解して「一人で自立して」学習できるようにするためのものです。指導は,全ての課題が終わり,教員に終了報告があってから行いましょう。
児童生徒が自立して活動できていなかったり,混乱する様子が見られたりしたときは,構造化の見直しを行いましょう。
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